日本代表として母国文化のすばらしさを伝えたい
空手・形 喜友名 諒 RYO KIYUNA

沖縄県出身。沖縄劉衛流空手・古武道龍鳳会所属。
元世界チャンピオンの佐久本嗣男に師事。全日本空手道選手権大会では、2012年から2019年まで8連覇、世界空手道選手権大会では3連覇を果たしている。プレミアリーグでは2018年から2019年まで2年連続年間王者に輝く。空手発祥の地、沖縄から世界を目指す空手家。

師匠は世界大会3連覇の達人。二人三脚で金メダルを目指す。

1日の練習スケジュールを簡単に教えてください。
毎日、午前11時ごろから夕方くらいまで、師匠の佐久本嗣男先生(※劉衛流龍鳳会会長。現役時代は世界空手道選手権3連覇を達成)に形の稽古をつけていただいています。夕方以降は、曜日によって、自分で形の動きを再確認したり、ウエイトトレーニングをしたり、道場で子供たちに指導したりしています。佐久本先生との稽古の前に個人練習を行う日もありますね。

中学3年生のとき形のすばらしさに目覚めた。

空手を始めたきっかけや、佐久本先生との出会いについて聞かせてください。
幼稚園のとき友達が空手をやっていて、稽古を見学したのが興味を持ったきっかけです。その日のうちに「自分もやってみよう」と決心しました。劉衛流に入門したのは中学3年生のときです。佐久本先生は当時、指導者として既に女子の世界チャンピオンを何人も育てられていて「この人の元で形を学びたい」と思い門をたたきました。

形には先人の技が詰め込まれている。その技の意味を考えていく作業が楽しい。

喜友名選手にとって、形の魅力とはなんですか?
沖縄には、空手の原形とも言われる「手」という武術が存在しました。現在の形には、その時代の先人たちが考え、代々受け継いできた技が詰め込まれているんです。その技の意味をひとつひとつ考えながら、学んでいく作業はとても楽しいですね。ただ、そうやって考えながら動くのは稽古のときだけ。試合では無心で演武できるようにならなければ結果は出ません。

演武だけで「強い」と感じさせられる究極の形を追い求めて。

喜友名選手の演武を見ていると、まるで対戦相手がいるような錯覚に陥るときがあるのですが、演武中に特に意識していることはなんですか?
そう言ってもらえると嬉しいです(笑)。実は佐久本先生の形の演武を初めて見たとき「この人は強い」と直感しました。実際に戦っているわけではないのに、強さを理解できたんです。ただ形としての突きを出しているのではなく、相手を倒すための技を出している。そのときから、自分も見ている人に強いと思ってもらえる演武が目標になり、現在も常に意識しています。

まずは形の動きを完璧にマスター。数センチの差で技の意味が変わってしまう。

喜友名選手にとっての理想の演武とは、どういう演武ですか?
理想の演武は、年齢やキャリアとともに変化していくものだと思いますが、先ほども言ったように、現在は強さを表現できる演武が理想ですね。まず、形の動き自体を寸分の狂いなく覚えます。突き出した拳の位置が数センチずれただけで、技の持つ意味が変わってしまいますから。そこまで完成してから、スピードやパワーを加えていき、強さを表現できる演武にまで高めていくイメージで作り上げています。

世界基準のスピード&パワー。そこに沖縄独自のしなやかさをブレンド。

形には、スピード、タイミング、バランス、呼吸法…などいくつもの採点基準がありますが、ここは他選手には絶対に負けないと自負される項目はありますか?
初めて世界大会に出場したとき、外国人選手のフィジカルの強さに圧倒されました。スピードもパワーも桁違い。以後ウエイトトレーニングに励み、ようやく同じ土俵で戦えるレベルになったのですが、そのとき沖縄独特の体全体を使った柔らかい動きが自分の武器になることに気づきました。佐久本先生には「まだ固い」と指導されることもありますが、しなやかさを兼ね備えた強さこそ、自分の長所になると思っています。

日常生活のすべてを空手の動きとして捉える探求心。

演武のパフォーマンスを高める上で、たとえばダンスなど他競技を参考にすることはありますか?
特に研究しているわけではありませんが、映像などでダンスのシーンを見ると「すごい体の使い方をしているな」と感心することがよくあります。単純に勉強になりますね。常に頭の中は空手のことでいっぱいなので、日常生活の中でも、誰かと接するたびに「あ、あの形の動きに似ているな」とか「今の動きは滑らかだったな」と考えてしまう。そういう癖がついてしまいました。

日々変化していく体型に合った道着を求め続けるこだわり。

道着に対するこだわりを教えてください。
道着はフィット感…いかに体に合っているかにこだわっています。日々のトレーニングで体型は逐一変化していくので、そのときの自分に合っているかが大切です。小さくて動きづらくてもダメだし、大きすぎて演武の邪魔になってもいけない。少しでも気になる箇所があれば、すぐに手直しをお願いしています。2、3か月に一度は細かな直しをしてもらっています。

本番では、日本代表として母国文化のすばらしさを伝えたい。

東京2020オリンピックで日本・沖縄の武道である空手が実施競技となることの意義について、どのようにお考えですか?
東京2020オリンピックに出場できたら、本番の舞台では自分がこれまで空手を通して学んできたものすべてを発揮するだけですね。沖縄県にも、空手が沖縄の伝統文化であることを知らない人がいると思います。劉衛流は大きな流派ではありませんが、非常に古い歴史があります。劉衛流の形を演舞することで、沖縄や流派を知ってもらえたら嬉しいですね。日本代表として、母国の文化のすばらしさを伝えられる演武をする覚悟です。

コーヒーは毎朝飲んでいます。気持ちを入れ込むスイッチ。

喜友名選手のコーヒーライフを教えてください。
毎朝、稽古の30分前くらいに飲むことが習慣になっています。きっかけというか、稽古に向けて気持ちを入れるスイッチになっていると思います。飲むのは、夏場だけでなく冬でもアイスコーヒーのブラック。僕自身が暑がりだし、何より沖縄は暑いですからね。さすがに寒い国へ遠征した際は、ホットを飲んだりしますけど…。苦みの強いタイプが好みです。

AGF®︎「煎」と自分の共通点とは…。細部まで突き詰めていくこだわり。

AGF®「煎」は、1000種以上の香り成分、100種以上の味成分の分析を元に設計されたこだわりのコーヒーです。喜友名選手の空手に対するこだわりと共通する部分はありますか?
僕は“こだわり”という言葉が好きです。形の中の単純な突き、そして蹴り…そういう技一つにおいてもこだわりを持って極め、誰にも負けたくない思いで空手をやっています。コーヒーの開発工程には詳しくありませんが、そうやって細かいところまで突き詰めていく努力には共通した部分があるのではないでしょうか。こだわりがあるから、素晴らしい演武や美味しいコーヒーができあがるのだと思います。