北京2008パラリンピックからパラリンピック3大会連続出場。2016年5月には当時の世界記録を更新。リオ2016パラリンピックでは走幅跳(T42)で銀メダル、4×100mリレー(T42-47)で銅メダルを獲得。東京2020パラリンピックで金メダルを目指し、2017年10月にはプロ陸上選手となる。

子供との時間が、最高のリラックスタイムですね。

プロである山本選手の基本的な1日のスケジュールを教えてください。
練習は毎日、午前10時から母校である大阪体育大学で行っています。練習時間は2、3時間。昼食を挟んで午後は身体のケアに充てています。夕方、帰宅してからは子供と遊ぶことが日課です。この子供との時間が、現在の僕にとっての最高のリラックスタイムですね。家族からは元気と安らぎをもらっています。

全力で飛ぶのは大会での試技だけ。

具体的な練習内容は?
曜日ごとにメニューを決めています。月:スタートダッシュ、火:加速走、水:ウエイトトレーニング、木:休み、金:加速走、土:100m競技練習、日:休み。“休むことも練習のうち”の意識で、短い時間の中でいかにパフォーマンスを上げるかにフォーカスしています。シーズン中は、練習中に跳躍はせず、全力で飛ぶのは大会での試技だけ。目標とする大きな大会に向けて、実践の中で調整していく感じですね。

試技に向けて徐々に気持ちを高ぶらせていきます。

本番での集中力を増すために取り入れているルーティンはありますか?
大会当日は、練習と同じメニューでアップをしています。日々の練習の中で、全力を出せる準備の仕方を確立させて、それを本番でも同じようにやるわけです。その日の体調はどうか。自分の身体と相談しながら、メニューの本数を変えたりして、少しずつ身体を作っていく。そして、試技に向けて徐々に気持ちを高ぶらせていきます。

心掛けているのは、他の選手の跳躍を見ないこと。

大会当日、試技の順番が来るまで…跳躍と跳躍の合間はどう過ごされていますか?
義足の中は結構、汗をかくので、義足やシューズを脱いで過ごすことが多いです。あと心掛けているのは、他の選手の跳躍を見ないこと。できるだけ余計な情報は入れないようにして、次の試技に向けて、頭の中で自分の跳躍をイメージして確認しています。こういうリズムで助走して、こう踏み切ろう…そのイメージと実際の跳躍がピタッと合ったときは良い記録が出ることが多いですね。

駆け引きも含めて競技として楽しんでいます。

選手控室で、選手同士の駆け引きなどあるのですか?
「自分は今日、絶好調だ!」とアピールしてくる選手はいますよ。「この間の大会ではこんな記録を出した」とか。そうやって、相手に「より記録を出さなきゃ」とプレッシャーをかけるわけです。僕は主要国際大会をすべてチェックしているので「そんな記録じゃなかったじゃん」とすぐにわかるんですけどね(笑)。たまには僕もやり返すこともありますし、そんな駆け引きも含めて競技として楽しんでいます。

新しい義足に変えるたびに記録は伸びています。

競技用義足へのこだわりはありますか?
僕は義足を「身体の一部」とは考えていません。もう少しドライに「競技を支えててくれる道具」と捉えています。同じ義足を長年、使用し続ける選手もいますが、僕は新しい性能の義足が出たら、積極的に試していくタイプですね。実際、僕の競技人生では、新しい義足に変えるたびに記録は伸びています。性能の良し悪しは確認しますが、良い義足だと思ったら、その義足に合うように自分の身体やフォームを変えていこう、と考えてやってきました。

一番重要なのは、どう踏み切りがはまるか。

幅跳び競技のフォームの中で、どのポイントを最も重要視していますか?
やはり踏み切りです。空中フォームも意識しますが、一番重要なのは、どう踏み切りがはまるかでしょうね。それで、跳躍距離のほとんどが決まると言っても過言ではありません。義足には反発力があると言われたりしますが、まずこちらが力を加えないと反発力はもらえないんです。大きな反発力を得るために、全エネルギーを踏み切りに集中させています。

他の選手がどんな記録をだすかは、自分ではどうすることもできない。

山本選手は過去3回のパラリンピックに出場されています。その経験の中から、得た教訓や学んだことはありますか。
ロンドン2012パラリンピックでは、世界ランキング1位で臨みながら結果を残せませんでした。先ほど、大会では他選手の跳躍は見ないと言いましたが、この大会がきっかけだったんです。相手を超える記録を出すことを意識してしまい、自分のベストを出すことに集中できなかった。それからは、自分にコントロールできることと、できないことを考えるようになりました。

もう少し具体的に教えてください。
他の選手がどんな記録を出すかは、自分ではどうすることもできません。でも自分の跳躍は自分次第です。だったら、自分のベストを出すことにフォーカスしよう…と。ロンドン2012パラリンピックの反省を生かして、リオ2016パラリンピックでは当時の自分のベストを尽くせたと思います。ただ、振り返ってみると、大会直前に「金メダルを…」と発言してしまっていたんです。

記録ではなく結果を求めてしまった。
自分のベストを出した後に、メダルという結果がついて来る。東京2020パラリンピックには、その意識を再確認して臨みたいですね。本番が、来年8月29日の夜のプログラムで行われることは、もう決まっています。まず、その日のタイミングに自分のコンディションを最高に持っていく。そして、最高のコンディションで最高のパフォーマンスを出す。そこまでは自分でコントロールできることなので、責任をもってやり遂げたいと思います。

大切にしているのは、“格好よさ”

山本選手がアスリートとして大切にしていることはなんでしょう?
大切にしているのは、“格好よさ”ですね。子供のころ僕は野球少年でした。当時、プロ野球選手を見て「格好いいな」と憧れ、同じ背番号をつけたり、プレーを真似したものです。今は自分が見られる立場になった。跳躍している姿でもいいし、言動を含めたスタイルでもいい。一人でも多くの人に、「格好いい」と思ってもらえるアスリートになりたいです。

コーヒーは大好きで、気持ちが整う感じがします。

山本選手はコーヒーがお好きだそうですが、最後に、AGF®「煎」を飲んだ感想を聞かせてください。
コーヒーは大好きで、食事のあとや移動中などによく飲みます。酸味よりも苦みが強い方が好みですね。リフレッシュと言いますか、気持ちが整う感じがします。「煎」は日本の軟水に適した配合を実現したそうですが、そういうこだわりはアスリートにも共通すると思います。道具にこだわり、納得した気持ちで打ち込まないと記録につながらない。そういう点は似ていますね。