奥入瀬渓流OIRASE GORGE

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奥入瀬渓流

OIRASE GORGE

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均衡のなかに育まれた自然

Nature nurtured in equilibrium

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青森県八戸市の市街地から、山間の道を車で進むこと1時間強。十和田湖から北東に延びる奥入瀬渓流(おいらせけいりゅう)がある。十和田湖から流れ出る唯一の川である奥入瀬川の、最上流部14kmにあたるこの渓流は、豊かな自然を味わえる散策道として貴重な場所である。渓流に寄り添うように歩道と車道がならんでおり歩きやすい。下流から上流に向かって、移ろう川の表情を視界に映しながら歩くのがおすすめだ。

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十和田湖は大規模な噴火によって生じた凹地に長い年月をかけて雨水や湧水が溜まることで出来たカルデラ湖である。やがて湖岸の一部が決壊し、一気に流れ出た湖水が台地を削り取るようにして現在の奥入瀬が出来上がった。渓流の周囲には露出した岩壁が数多く見られ、層状に堆積した岩肌から湧水が止めどなく染み出している。山中に蓄えられた豊富な水を感じられる。ちなみに、カルデラとはポルトガル語で「大鍋」を意味する。

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十和田湖が持つダム機能や渓流の勾配のなだらかさ故に、奥入瀬は氾濫が起きにくく、水の流れも安定している。奥入瀬の景観を特徴づける盆栽のように苔むした岩の数々は、この安定した水量によってもたらされたものである。水量が不安定で増水や氾濫が起こるような川では苔が流されてしまい、このような緑の景観は生まれない。苔を土台として発芽した草木は栄枯盛衰のなかで土壌となり、岩の上に独立した自然を築いている。

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ブナやトチノキといった混生林が形成する遠景としての緑はもちろん美しいが、近寄ってみたときの多様な植物の様相もまた魅力的だ。苔の張った倒木から突き出るように伸びるツノゴケやキノコ、ブナの樹皮についた地衣類がつくる独特の模様、芽吹いたばかりの透き通った双葉など、目を凝らしてみることで、重層的で奥行きのある植物の世界に気づく。日の移ろいに合わせて濃淡を変える森の緑はいつまでいても見飽きない。

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『三乱の流れ』『阿修羅の流れ』『飛金の流れ』などと、水の流れに名前が付けられているのが新鮮だ。水量が大きく変動するような川であれば、流れも一定には保たれないはずだから、この名前も安定した水量の証明といえるかもしれない。同一の渓流とは思えないほどに、場所によって違った表情を見せる水の流れが美しい。岩の配置や倒木の有無、川の深さや勾配の強さなど、その流れを生み出す要因に思いを巡らせるのも一興である。

奥入瀬渓流沿いの一帯は国立公園に属しており、国の特別保護地区に指定されている。そのため、草木一本を持ち帰ることも許されておらず、倒れた木も撤去されることなくその場に残される。倒木はやがて苔むしていき、再び景観の中に溶け込んでいく。あくまでも自然が優先され、人為的な環境への作用は最小限に抑えられているのが印象深い。現在はバイパスの整備も進行しており、さらなる自然の保全が進んでいるそうだ。

青森県十和田市奥入瀬渓流

移りゆく川の流れと柔らかな木漏れ日に包まれて、
心安らぐ静謐なひとときを体感できる場所です。

※データは検体場所・時期によって個体差が生じます。
※地図出典元:国土地理院 電子地形図(タイル)
※味の素AGF調べ